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条件のいい人ほど低利で借りられる図式

十分な収入や安定した職業の人は低い金利で融資が受けられます。しかし、収入が不安定で少ない人への融資には、高い金利か付いて回るのです。これを金利のヒエラルキー(階層)という人もいますが、金利が高くなるのはそれだけ貸す側のリスクも大きくなるからです。現在、金利のヒエラルキーのいちばん上に位置しているのは、銀行(信用金庫を含む)で、その無担保ローンはもっとも低い金利のもので、6・375%から借りることができます。このような低い金利のローンは誰でも利用できるのではなく、安定した収入があるなど一定以上の条件が必要になります。銀行は初回の貸出し時に、何日間かの時間をかけて信用力を審査し、貸倒リスクが少ないことを十分確かめます。昨今は、借りる側にとって長い間待たされたあげく、丁重に断られることも多いため、急にお金が必要な場合は向かないでしょう。

金利面で銀行に次ぐ位置にあるのが、銀行系消費者ローン会社です。モビット(UFJ銀行とプロミスが提携)、アットローン(三井住友銀行と三洋信販が提携)、東京三菱キャッシュワン(東京三菱銀行とアコムが提携)などがあります。金利は15~18%と各社横並び状態で、銀行の無担保ローン金利と比較すると3倍以上の高利です。銀行系消費者金融は次々と設立され、ローン業界に新規参入が相次ぎました。利用する場合のデメリットは入会手続きに多少手間がかかり、消費者金融ほどATM台数が多くないなど不便な点があることです。メリットはきちんと返済しておけば、将来、住宅ローンなどの多額の融資を受けるときに、銀行が行うローン審査でも減点されないことです。

これに次ぐグループはカード会社です。クレジットカードを持っていれば、融資枠内で気軽にキャッシングができますが、金利は18~29%程度と消費者金融並みに高くなります(100万円以内の場合)。これは、クレジットカードの第1日的が商品購入にあり、キャッシングは付帯サービスの1つに位置しているからです。ところが、カード会社の収益構造をみると、キャッシングによる収益が大きな割合を占めています。これらの理由からキャッシング金利が高めに設定されているのではないでしょうか。高金利でも、クレジットカードはカード会員になれば、特別な審査もなく、ATMからすぐ引き出せるので簡単にキャッシングができます。こうしたことから金利が高いわりには、数枚のカードを持つ利用者も多いようですが、このことが多重債務に陥るきっかけにもなっているので十分注意が必要です。カード会社の次が消費者金融です。自己破産者や多重債務者でなければ、18歳以上なら学生でもフリーターでもすぐお金が借りられるのが消費者金融です。

ATMの台数がもっとも多く、30分ほどの審査で借入れができるなど利便性は抜群ですが、金利は上限の29・2%にかぎりなく近く、高金利となっています。高金利の理由は、幅広い顧客層を対象にしているため、貸倒リスクを十分見込んで、そのマイナス分を吸収しているからです。たとえば、収入が不安定な人でも、返済能力があるとみれば法定金利上限の29・2%で貸し出します。消費者金融には大手から中堅、中小・零細までさまざまな業者があり、悪質なところもいまだに存在しているようです。そして、消費者金融で借入れができない人がつい利用してしまうのが、先に記述したいわゆるヤミ金といわれるところです。このほかにもさまざまな金融業者が混在し、それぞれが「上客」を求めて活動しています。利用者、つまりお金を借りる側とすれば、できるだけ低利で借りたいと願うのが普通ですが、「そうは問屋が卸さない」というのが現実なのです。

カードビジネスは基本的においしい事業

この問題について結論からいいますと、カード会員は心配しなくていいのです。カード会社がつぶれても、そこのカードを持つ人はなんら影響を受けないことがほとんどです。というのも、カード会員は、たとえ返済が滞っている人でも、カード会社にとっては「お金を生み出す金の卵」とみているからです。そこが、メーカーや商社の倒産とは違います。ですから、会社がつぶれても必ず次の引受先が現れます。たとえば、信販中堅のライフがいい例でしょう。1998年、日本長期信用銀行が破綻し、そのあおりで同行をメインバンクに資金調達をしていたライフは経営難に陥りました。

2000年5月に会社更生法を申請しましたが、それからすぐに引受手が決まり、2001年3月に再スタートを切りました。名乗りをあげたのは消費者金融大手のアイフルでした。アイフルは、消費者金融専業からクレジットカード業界への進出を図ったわけです。しかし、経営者が代わったことは、一般のカード会員はほとんど知らなかったようです。会社更生法を申請しても、会員数は減らなかったことがそれを証明しています。それどころか順調に増加を続けたそうです。現在、ライフはアイフルの傘下に入り、そのクレジットカード部門として、好調に業績をあげています。

基本的に、カードビジネスはおいしい事業といえます。債権残高は売買できる資産といっていいですし、何十万、何百万もの会員のデータを有効に活用すればマーケティングの武器になります。また、加盟店のネットワークは、将来的な「富の源泉」といえるでしょう。ですから、会社がつぶれても必ずあとを継ぐ会社が現れるのです。このため、突然カードが使えなくなることはまったくないのです。一方、カード会社の立場に立てば、基本的に知恵を絞って仕事をしていればカード会社はつぶれることは考えられません。

というのも、カード業界は、貸倒れが増えているとはいっても、業界全体では追い風を受けて拡大を続けています。その理由は、会員がカードをよく使うようになっているからです。カード会社は手数料ビジネスで、儲けが少ないといいましたが、その反面、毎日必ず収益があるわけで、日銭が入ってくるという強みがあります。また、会員の貸出残高は、後日いくらでも回収できるという資産でもあります。それでもつぶれるカード会社があとをたたないのは、バブル期の不良債権が重荷になっている場合や、スキャンダルで企業(カード)イメージが悪化した場合などが原因です。

リボ払いで収益アップ

クレジットカード会社の収益源は限られています。年会費、加盟店手数料、金利収入が主な要素ですが、もっとも利益の見込める金利収入の割合はまだ小さなものです。そこで、この収益構成を変えようと各社はリボ払いの普及に力を入れています。というのも、ショッピング払いのうちの9割近くを占めるのが一括払いであり、リボ払いは全体の10%に届かないほど小さいからです。

一括払い(チャージ払いともいう)は、最長55日間無利子で立替払いをしてくれるため、利用者には最高の支払方法なのですが、カード会社にとっては、ほとんど利益にならないボランティア活動のようなものです(平均3%の加盟店手数料が入ってくるだけ)。それに対して、13%を超える金利収入が見込めゐリボ払いは大きな収益分野といえるでしょう。日本のカード会社に比較すると、欧米の銀行やカード会社は、リボ払いの比率が7割もあり、その金利が銀行やカード会社の経営を支えるという構造になっています。

リボ金利中心の収益構造なのです。たしかに、米国ではクレジットカードというと、VISA、マスターのリボカードをさし、一括払いのカードは別にチャージカードと呼んだりしています(アメックス、ダイナースがこちらのグループ)。そして、実質年率10~15%というリボの金利収入が銀行を潤しています。そのため、法人貸付けに特化して不良債権を多く抱え込んだ日本の銀行と違い、欧米の銀行は安定的な経営を実現できるのです。

提携カードのコストと収益配分は?

クレジットカードの種類は、プロパーカードと提携カードの2つがあります。カード会社が単体で発行するカードをプロパーカードと呼び、一般企業・団体と提携して発行するカードを提携カードと呼んでいます。最近のクレジットカードの主流は、プロパーカードではなく、提携カードに移っています。

すでに新規発行カードの6割以上が提携カードになったともいわれるほどです。提携カードが「ブーム化」しているのは、カード会社、企業、利用者のそれぞれにとって大きなメリットがあるからにほかなりません。まず、カード会社は、企業の抱える優良顧客を会員にできるというメリットがあります。顧客の規模に応じて会員数もあらかじめ読めるのでマーケティングがしやすく、稼働率が高いという傾向もあります。

一方、提携する企業からすると、カード会社の助けを借りて手軽にカードを発行でき、「顧客の囲い込み」が可能になります。審査や回収といった面倒な仕事も、すべてカード会社が担当してくれるので、手をわずらわされずにすむというメリットがあるのです。利用者(会員)にとっては、プロパーカードの特典に加えて、提携企業がさまざまな特典を提供しているため、1枚で2~3枚分も得するカードになっていることがあります。

単純にたとえれば、プロパーカードの場合には5つのサービスしか受けられないのに対して、提携カードになると、提携企業がさらに5つのサービスを加えてくれるので、合計10ものサービスが受けられるようになるのです。

手数料のダンピング競争で予想される影響は?

加盟店の業態で異なる手数料
カード会社にとっては、いかに良質の加盟店を多く抱えるかが経営安定の決め手となります。質の高い加盟店を多く持っていればカード取扱高も増え、カードを利用する頻度も高まるために手数料収入が増え、新規顧客の獲得も容易になるからです。そのためカード会社にとっては、カード発行業務とともに、加盟店を開拓する業務も重要な仕事といえます。ところでこの加盟店ですが、カード利用の広がりを受けて多岐の分野にわたっています。

デパート、スーパー、飲食店はもちろん、最近ではタクシー、コンビニ、宅配便、催事場、JRの切符・定期券、携帯電話料金、電気料金(一部)、ガス料金(一部)、それに病院など、非常に多くの分野でカードが利用できるようになってきました。そして、業種ごとに加盟店手数料はある程度決まっているのです(それぞれの加盟店は、カード売上高の数%をカード会社に払う契約になっています)。手数料亭は、回収リスクの高い業種、たとえば、飲食店、タクシーなどは比較的高く設定されますし、薄利多売で儲けの少ない量販店、コンビニなどは低く設定されています。

ちなみに、手数料率は次のようになっています。
・バー、クラブ、その他飲食店 4~7%
・一般の小売店、専門店 3~5%
・デパート 2~3%
・量販店、コンビニ 1~1・5%など

この手数料は、カード会社が優良会員を店に送客してくれることに対する「謝金」と考えるとわかりやすいでしょう。現金を持ち合わせていない人でも、カード会員なら店の商品を購入するチャンスが生まれるわけですから、売上げに結び付く可能性もあります。そのお礼に、店側はカード会社に手数料を支払うと考えればよいのです。ところが、なかには悪質な加盟店があって、カード会社に払う手数料分をそっくり会員に押し付ける場合があります。

とくにバーやスナック、クラブ、その他飲食店、量販店などでよく聞かれます。これは明らかに契約違反であるため、カード会社はこうした悪質な加盟店に注意して、徹底した管理・指導をすべきです。それでも改善されなかった場合には、加盟店契約を破棄するなどの厳しい措置をとってほしいところです。しかし、実際にはカード会社は、加盟店を失いたくないため、そうした悪質加盟店を見過ごすことが多いようで、トラブルはあとをたちません。

アイフルのステータス向上に貢献するライフ

ライフは00年の破たんから5年が経過、今では消費者金融大手のアイフルを連結業績で業界トップに押し上げる有力子会社になっています。

ライフは00年5月、メインバンクだった長銀の破たんで資金繰りが急速に悪化し、会社更生法を申請しました。信販大手の一角で他の信販大手同様、バブル時代の不良債権という「負の遺産」はあったものの、経営は順調だっただけに、活発な買収合戦が繰り広げられました。GEキャピタル、アイフル、シティバンク・新生銀行・プロミスの3社連合、オリックス・スルガ銀行・AIGの4社(連合)が激しく競い、01年4月に消費者金融大手のアイフルが傘下に収めました。実は、GEキャピタルの買収でいったんは決まりかけましたが、直後に再検討を表明して再出馬したため、ライフの支援先は混沌とした状況が半年程度続いた経緯があります。

当時は、業界4位だったアイフルが数千億円という巨費を投じてライフを買収したことに対して、消費者金融業界では「あまりにリスクが大き過ぎるのではないか」と危惧する声もありました。しかし、アイフルは「賭け」ともいえるこのM&Åにより、連結業績で業界トップに浮上、結果的にこの買収劇は成功を収めたといえます。

ライフは52年、「広島職域指定店会」として広島市で誕生、76年に現社名に変更しました。現在は、アイフルの連結子会社で非上場企業になっています。

同社はもともとキャッシングにも強く、全国に200店舗以上設置している消費者ローン窓口コーナー「ライフキャッシュプラザ」は、以前から信販業界でも注目されていました。ここにアイフルの与信ノウハウを得たことで、キャッシュプラザで扱う「プレイカード」の収益が増加しており、アイフルの消費者金融業界におけるステータスの向上(連結業績)に大きく貢献しています。

また、ライフは量販店などとのカード提携に強い会社としても知られており、発祥の地である広島の大手家電量販店「デオデオ」とは、1社独占の提携カードを発行しています。現在はオートローン、不動産担保ローンなど、長期分割払いの個晶景茉からは撤退しており、採算分野と不採算事業の切り分けを明確にすることで高収益を確保し、業界でも有数の優良企業に生まれ変わっています。

05年7月には、アイフルが筆頭株主となった東日本銀行と提携して、クレジットカード一体型キャッシュカード「バンク・アライアンス・カード」を発行し、注目を集めています。

新生銀行に売却されたアプラス

アプラスは04年、メガバンク同士の統合を控えて新生銀行傘下に入りました。現在は、同行のノンバンク戦略の重要な担い手となって、収益増に貢献しています。

UFJ銀行の大口融資先だったアプラスは、02年に同行などから約1000億円の債務免除を受けて再建を図りましたが、04年8月にUFJホールディングスが三菱東京フィナンシャルグループとの経営統合を決めたことで、大口融資先の処理を進めざるを得ない状況になりました。

アプラスは当時、UFJグループが発行済み株式数の約4割を保有し、UFJ銀行、UFJ信託銀行の2行で約2000億円を融資していました。アプラスもまた、バブル期の「負の遺産」が相当額あったということを示しています。04年9月、新生銀行がアプラスの約70%の株式を取得して傘下に収めることが決まり、現在は新生銀行が推進する「ノンバンクビジネス」の最有力企業の地位を得て、再建を図っています。同行は、投資銀行業務、リテールバンキングに加えて、ノンバンクビジネスを中核事業に据えており、昭和リースや消費者金融準大手のシンキに続いて、大手信販を掌中に収めたことになります。

アプラスの04年度決算は、不動産担保融資などの不良債権処理のために3250億円の特別損失を計上し、2600億円の赤字決算に転落、再建に向けて険しい道を歩み出しました。

アプラスは、05年度から第5次中期経営計画「アプラス・フォワード・プラン」を策定し、高収益が期待できる個品あっせん業務を事業の中核に据えました。また、消費者金融事業にも力を入れ、「NEWスピリッツAカード」は最高200万円まで融資枠を拡大、教育、結婚資金などの目的別ローンも品揃えを図っています。

セントラルファイナンスが財務内容の健全化のために個品からクレジットカードヘの傾斜を強めているのと比べると、短期間での赤字脱却が至上命令かのように映ります。中期計画では、5年後に「リテールノンバンクのトップ企業となる」ことを最終目標にしています。そのためには、収益性の高い分野に資金を集中させる「選択と集中」作戦ともいえます。スポンサーが外資ファンドの新生銀行らしい、スピード感を期待した戦術といえるでしょう。新生銀行グループの昭和リースとの間でビジネスマッチング契約を交わすなど、グループ内のノンバンク提携が進みつつあります。

05年度中間期の業績では、個品あっせんや融資など、信用保証を除いた各部門で前年同期比プラスを記録し、取扱高全体で7・5%の増加とまずまずの成績を収めています。

中部地区に強い地盤を持つセントラルファイナンス

セントラルファイナンスは、旧東海銀行系では最後の砦ともいえる有力子会社です。親銀行の2度にわたる再編・統合で、今後の行方が注目されます。

セントラルファイナンスは、60年に名古屋市で営業を開始したのち、全国進出を図りました。現在も中部地区に厚い地盤を持っています。名古屋市に本部機能を置いている点で、大手他社と一線を画しています。同社は旧東海銀行系で、バブル期に発生した不良債権は旧東海銀行が債権放棄した経緯があります。セントラルファイナンスもジャックス同様、個品割賦に強く、オートローンは得意分野で、収益の大きな柱になっています。

02年1月、旧東海銀行は旧三和銀行と合併、UFJ銀行になりました。対等合併でしたが、旧三和の力は大きく、この影響は子会社にまで及びます。旧東海銀行が中心になって設立したクレジットカード「ミリオンカード」は、02年に旧三和銀行系のUFJカードなどと合併して姿を消しました。

05年10月、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の誕生により、セントラルファイナンスはUFJニコス、ジャックスの信販2社と「呉越同舟」の形でMUFGの傘下に収まることになりました。ミリオンカードを飲み込んだUFJカードはニコスと合併、皮肉にもミリオンカードと同じ道を辿ることになったのです。

同社は05年度の中間決算で、貸倒費用を積み増して346億円の特別損失を計上しました。しかし、割賦販売の利益を繰り延べていた分の161億円を当てることで、79億円の純損失にとどめました。

セントラルファイナンスは、04年度末決算で貸倒引当金の積み増しや資本増強など、財務的なリストラを敢行しました。しかし、05年度に入ってもこの傾向は続いており、バブル時代の「負の遺産」がまだ残っていることを示しているといえます。MUFGでは、中核となる旧三菱グループが強固な財務内容を誇ることから、グループ内企業は等しく財務内容の健全化を求められています。

UFJニコスの誕生やアプラスの新生銀行への売却も、ウラを返せば旧UFJグループの企業が持つ不良債権の早期処理が大きな狙いのひとつなのです。このため、同社は05年度から収益計上基準を変更するなど、財務体質の強化に取り組んでいます。

ビジネスモデルも財務体質に合わせて、総合あっせん(クレジットカード)により軸足を置く傾向が見られ、05年度中間決算ではオートローンをはじめとする個品あっせんは減少しています。グループ内に同業が2社あるだけに、この1~2年の間に財務内容の健全化という経営課題を克服しなければ、生き残りは厳しいものになるかもしれません。

メガバンク傘下でも「三菱直系」のジャックス

三菱UFJフィナンシャルグループのジャックスは、メガバンクのノンバンク戦略で再編の対象となる可能性を秘めています。

ジャックスは54年に函館市で設立され、その後は北海道・東北地域を営業地盤に活動していました。70年代中盤に入って、大手他社と同様に営業エリアを全国に展開してきました。現在でも北海道地区では依然影響力があり、97年に北海道拓殖銀行が破たんした際、他社に比べて低金利の消費者ローンを提供して、地元経済の救済に一役買ったことがありました。現在も、ジャックスのキャッシング金利は18%と、業界では最も低金利です。また、同社は旧三菱銀行と親密な関係にあるだけに、バブル時代の不良債権は少なく、総取扱高に占める各事業部門のバランスが取れているのが特徴です。

とはいえ、個品あっせん分野は主力部門。05年度の中間決算によると、訪問リフォーム業者への社会的批判の高まりを考慮して、リフォーム関連の加盟店の販売方法を見直したり、販売自粛したりしたことで、前年度に比べて僅かながら減少しました。商品別では、二輪車や太陽光発電などの環境商品が好調です。特にジャックスの主力分野のひとつでもあるオートローンは、中古車市場に積極的に参入して収益に貢献しています。

05年10月、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の誕生により、ジャックスはセントラルファイナンス、UFJニコスとともにMUFGに属することになりました。ここで焦点になるのは、信販事業の一部門である信用保証です。MUFGには、業務提携している消費者金融大手のアコムがあります。MUFGのトップ級の幹部は、ある会見の席で「個人与信の能力が高いアコムにグループ内の個人ローンの審査を集中して担当してほしいと考えている」と発言しました。消費者金融大手は、金融機関の消費者ローンの保証業務を多数受託して手数料を稼いでおり、この分野では優れた独自のノウハウを持っています。

しかし、ジャックスでも04年度の信用保証残高は5400億円と、取扱高の中では稼ぎ頭です。信販会社はもともと、金融機関のカードローンの保証業務では長い歴史を持っているので、そう簡単に消費者金融に譲るわけにはいきません。

ただ、メガバンクにとって、グループ内に同業態の企業が3社もあるということは経営効率上、好ましいものではありません。UFJニコスが発足したばかりなので、すぐに3社が合併することはないでしょう。しかし、将来的には保証業務やオートローンなど、事業分野ごとの再編に取り組まなければ、グループの存在意義も希薄になります。

オリコは伊藤忠の傘下でオートローン強化

オリエントコーポレーションは、みずほフィナンシャルグループと今年から筆頭株主になった伊藤忠商事の支援のもとで、徐々に業績回復に転じています。

日本信販(現UFJニコス)と並ぶ業界最大手の一角・オリエントコーポレーションは、この5年間、激動の時期をくぐり抜けてきました。

オリコの経営不振の最大の原因は、バブル時代に積み上げた不動産担保金融など、一連の事業融資の不良債権化にあります。ライバルの日本信販に遅れること3年、54年に広島で産声を上げた同社は、70年代中盤からの大手信販の全国進出以来、「日本信販に追いつき追い越せ」をスローガンに猛烈な勢いで業容を拡大していきました。最大の支援者が旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)です。大手都銀からの潤沢な資金をバックに事業融資を拡大、現在でも総取扱高では劣るものの、経常利益など利益3部門では日本信販を抜いて業界トップの座にあります。

しかし、バブル時代の「負の遺産」は重くのしかかり、01年には約400億円の第三者割当増資、03年にみずほコーポレート銀行から1500億円の追加支援、そして05年には伊藤忠商事から700億円の資金支援を受けるなど、何度も資本増強を繰り返してきました。現在は、みずば銀行をメインバンクとする伊藤忠商事が同社の筆頭株主になっています。

日本信販は、ここ10年で事業の中核を総合あっせん(クレジットカード)に置いて「生活総合提案企業」を標榜してきました。一方、オリコは「金融商社」を目指して企業向け金融事業に傾斜してきたため、日本信販に比べてバブル時代からの決別が遅れる原因となりました。

しかし、法人向け融資部門から撤退をはじめ、得意分野である個品割賦、特に自動車ローンに力を注いで業績回復に努めています。05年4月から伊藤忠商事の金融子会社・伊藤忠ファイナンスと提携して、自動車販売店向け「在庫担保ローン」の取り扱いを始めました。オートローンに強いオリコの特徴を生かした戦略で、今後3年以内に1000億円の融資残高を目指すといわれています。

信用保証事業では、これまでUCカードに委託していたみずほ銀行が、個人ローンの信用保証全額(約3000億円)をオリコに移管しました。

オリコは個品割賦の主力商品であるオートローン事業を強化していく方針ですが、クレジットカード事業(総合あっせん)ではUFJニコスに大きく水をあけられています。「オリコは財務体質を変えるための資産流動化策として、オートローン債権に傾斜しているのではないか」(事情通)との指摘もあり、バランスの取れた事業展開が求められているようです。

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