記事一覧

メガバンクの再統合で揺れるUFJニコスの将来

05年10月に、日本信販はUFJ力-ドと合併し、「UFJニコス」になりました。銀行系クレジットカードと信販会社の合併は初めてのことです。

UFJニコスは、合併によって自社カード会員2000万人、カード取扱高約4000億円と、国内最大のクレジットカード会社になりました。存続会社は、信販最大手の旧日本信販です。両社が合併するまでには、様々な経緯がありました。

旧日本信は、バブル時代の不動産担保金融などの事業融資や生命保険、語学学校など、経営多角化が裏目に出て巨額の不良債権を抱えました。このため00年、メインバンクだった旧三和銀行を中心とした金融団から3000億円の緊急特別融資を受けました。

一方、UFJカードは、三和カードサービスが00年にフィナンシャルワンカードに改称し、その後東洋カードサービス(東洋信託銀行系)と大同生命力ードサービスを統合、02年にUFJホールディングス(HD)が誕生したため、ミリオンカード・サービスとフィナンシャルワンカードが合併して発足するという、やや複雑な経緯を経て生まれた会社です。

しかし、信販各社はいずれもバブル時代の不良債権処理で経営が悪化しており、その処理は都銀自身のアキレス腱にもなっていました。経営効率を高めて各社が収益を回復するためには、合併は避けられない状況でした。04年、日本信販はUFJ銀行の連結子会社となり、UFJカードとの介併が決まりました。存続会社はニコスですが、実態はUFJ銀行によるニコスの救済合併の色彩が強いのです。

ところが、04年8月にUFJHDが三菱東京フィナンシャルグループ(MTFG)との経営統合で合意したことで、状況が変化しました。MTFGにもDCカード、ジャックスなどのノンバンクがあり、今後は一段の再編が予想されるからです。

05年10月に発足した三菱UFJフィナンシャルグループには、クレジットカードのDCカード、信販にUFJニコス、ジャックス、セントラルファイナンス、消費者金融に提携先のアコムとその子会社DCキャッシュワンという6社が傘下に入っており、友好先のJCBを加えると強力なノンバンク群となります。

しかし、グループの経営資源を効率的に使って、ノンバンク各社が高収益を卜げるためには、再編成は避けられません。そのカギを握るのがUFJニコスとJCBによるシステム協業化といわれています。UFJニコスは、08年度にJCBが開発を進めている次世代システムをペースに、旧2社のシステムを統合する予定です。このシステムが完成すれば、MUFG傘下のノンバンク各社はシステムを共同利用できるようになり、システム投資の負担が大きく軽減できるでしょう。

メガバンクは信販をどう活用するのか

メガバンクは、大口融資先である信販の不良債権処理にほぼめどをつけました。今後は、リテール戦略を担う真の実働部隊として、役割が増してきそうです。

メガバンクの各グループは、信販をリテール戦略の有力な一員として有効活用していくのは間違いありません。なぜなら、信販会社がリテールのオールラウンドプレーヤーだからです。クレジットカードや割賦、消費者金融、信用保証、融資など、多彩な事業部門今持ち、会員数、加盟店数とも抜群の規模を有しています。それに、メガバンクは親子関係にあった自行のクレジットカードと距離を置き始めており、消費者金融に急接近しています。こうした事業をクレジットカード事業としてひと括りにして考えると、稼働率の高いカード、使われるカードをより強く育てることが急務になっています。

会員数は、今や飽和状態になっています。カードブランドはデュアル発行が当たり前になり、ブランドで顧客を引き付けることは難しくなってきました。街角の商店を対象に加盟店を獲得する方法は時代遅れとなり、家電は販店などとのカード提携が主流になっています。割賦機能は解禁されましたが、信販に一日の長があります。総合あっせん、個品あっせんという小口・大口の売り上げが見込める信販は、クレジットカードや消費者金融と比べてリテール事業における総合力が高いのです。

銀行に欠けているのは、個人情報の有効活用です。何千力という口座数がありながら、預金者の購買動向や消費行動を把捉できていません。分割払いでは、請求書や領収書が毎回送られてきますが、ダイレクトメール(DM)が同封されています。そのDMは利用者が購人した商品や年齢、性別などと関連付けられています。個品は支払い回数が多いので、そうした機会が多くなります。顧客とダイレクトに、しかも長期にわたって関係が持続します。

銀行には他業禁止規定があるので、たとえば満期日の通知書の中にレストランのクーポン券などは入れられません。しかし、グループ内の信販を活用すれば、彼らが顧客を獲得して、振替口座を自行に指定することも可能でしょう。

一方、消費者金融もメガバンクの一員になったため、信用保証や消費昔ローンの与信業務などは彼らの得意分野だけに、事業の融合が進む可能性もあります。消費者金融のクレジットカード事業は歴史が浅く、お互いの長所を結び付けていくと思われます。そうしたノンバンク各社の舵取りをするのが、メガバンクの役割になっていきます。メガバンクグループのリテール戦略に欠かせない戦力であり、その活用次第でグループの力量に差がつくことでしょう。

負の遺産は本当に解消されたか

信販大手各社は、バブル時代の不良債権処理にめどをつけ、今後は業容回復に力を注ぐものと見られますが、そうした「負の遺産」は本当に解消されたのでしょうか。

銀行が抱えていた不良債権の中でも、ノンバンクは突出していました。特にバブル時代、「都銀の別慟隊」とまで言われた信販会社は、豊富な資金を都銀から受けて不動産担保融資などの事業金融に手を染め、巨額の不良債権を残したのです。

ノンバンクが大口融資先になるほど借り入れが多いのは、他人資本に頼らざるを得ないその事業構造にあります。ノンバンクは、基本的に手数料と金利収入が利益の源泉ですから、規模のメリットがなければ売り上げは伸びません。

信販会社は加盟店で売り上げが発生すると、直ちに立替払いを行うために、加盟店に購入代金を支払わなければなりません。しかも分割払いですから、支払い回数が長期になればなるほど、利用者から回収する代金は後手に回ります。その間の運転資金などが必要ですから、借り入れがかさんで有利子負債が巨額になるのは当然のことなのです。銀行から借りた融資に見合うだけの収益が安定的に確保できなければ、返済は行き詰まります。これに拍車をかけだのがバブル時代の事業金融でした。

都銀にとってノンバンクの不良債権処理は、ゼネコンや不動産などの大口融資先と性質が異なります。それは、都銀も自行の融資審査に通らない顧客をノンバンクに融資させるなど、不良債権の発生に一役買っていたからです。しかも、実質的な支配下に置いていましたから、問題がこじれたのです。

三菱東京フィナンシャルグループ(MTFG)との統合を決断したUFJホールディングスは、特に大口融資先にノンバンクが多く、不良債権比率の低いMTFGサイドから統合前に処理を完了するよう、強く迫られました。その結果、旧日本信販はUFJカードと合併し、アプラスは新生銀行に売却しました。

オリエントコーポレーションもまた、みずば銀行にとっての大口融資先で、その処理には頭を痛めていました。やはり04年度決算までの不良債権比率半減目標の達成のため、05年2月、伊藤忠商事を筆頭株主にしてオリコの処理に道筋をつけました。

信販大手にとって「負の遺産」は峠を越した感があります。この5年間、その処理が重くのしかかり、メガバンクの統合・再編にも翻ろうされました。財務体質はかなり改善しましたが、有利子負債の圧縮という課題は依然残っています。今後は、銀行の連結対象になり、信販独自の先送り的な売り上げ計上に代わって厳格な会計基準を求められます。「負の遺産」問題が本当に解消されたのかどうか、これからが正念場といえます。

ショッピングは経済産業省、キャッシングは金融庁

信販会社にとって、商品やサービスの売買(ショッピング)に関しては経済産業省、融資(キャッシング)については金融庁が管轄していて、監督官庁が二つあります。

商品購入やサービスの提供に関しては、消費者と販売店(加盟店)との間に立って立替払いをします。そこでは、きちんとした売買行為が行われているかどうかをチェックする必要があることから、消費生活を監視する経済産業省が監督官庁になっています。

一方、キャッシングは金融業務なので、金融庁の管轄です。信販、クレジットカード、消費者金融のいわゆるノンバンク3業態のなかでは、消費者金融だけが金融庁の管轄下にあり、その他は経産省、金融庁という二つの監督官庁のもとで営業行為をしています。

金融庁には金融会社室、経産省には取引信用課があり、ノンバンクにおける諸問題に対応しています。クレジット業務の一部は割賦販売法に基づく登録が必要で、経産省に許認可権があります。近年、訪問(通信)販売業者と消費者とのトラブルが増えていますが、特定商品取引法(旧訪問販売法)に基づいて、こうした課題に取り組んでいるのが経産省です。金融庁は、キャッシング業務に必要な貸金業免許を交付する権限があります。簡単に言えば、ショッピングは経済産業省、キャッシングは金融庁が業務を管轄していることになるのです。

こうした「両省管轄」がいまだに続いているのは、ノンバンク業界の裾野の広さに起因している、との指摘もありますが、「省益」を競い合ってきた両省の思惑にあるといえます。

特に旧大蔵省は、財政と金融という国政の重要な柱を握り、「省庁の中の省庁」といわれて絶大な権限を持っていました。この傘下に大銀行のもとで誕生したクレジットカード会社があります。我が国のクレジットカード普及に大いに貢献したこともあって、保護行政をモットーにしてきた旧大蔵省の意向は、旧通産省といえどもなかなか口が出せませんでした。93年、銀行系クレジットカードに割賦機能の一部であるリボルビングを認める代わりに、信販系クレジットカードなどに銀行のATMを開放するといった政策も「大蔵VS通産」の妥協の産物といえるものです。

問題なのは、二つの監督官庁がにらみを聞かせていることが、果たしてノンバンクの利用者にとって有益かどうかです。たとえば、キャッシングにおける上限金利問題と個人信用情報の共有化です。キャッシングにおける上限金利は、どの業態もほぼ横並びの状態で、必然的に自己破産や多重債務も消費者金融だけの問題ではありません。信販、クレジットカードを含めたノンバンク全体の問題で、その解決に向けて経済産業省と金融庁が力を合わせて解決していくべきです。

「国際カード」への険しい道のり

大手各社は、個品割賦に頼る経営からクレジットカード事業強化に乗り出しますが、海外でも使えるカードの国際化は容易に実現しませんでした。

信販会社の生命線は「割賦」機能にあるのは言うまでもありません。しかし、80年代前半から国民の生活水準が向上し、海外旅行ブームが起きるなど、ライフスタイルが変化するにつれて、クレジットカードの推進は信販業界の大きな課題でした。それは、クレジットカードの国際化です。特に、85年の「プラザ合意」以降の円高で海外旅行者数は大きく伸び、「海外でも使える」というカードの国際化は重要なセールスポイントになっていました。クレジットカード分野では、銀行系が発行枚数など多くの点で信販を圧倒していました。国民の目が海外に向けられているときに、海外で使えないカードは競争力に大きな差が出てしまいます。

カードの国際化のためには、VISAやマスターといった国際2大ブランドとの提携が不可欠でしたが、クレジットカードの国際ブランド化で先行する銀行系クレジットカードが、それまでの2大ブランドとの関係を盾にその前に立ちはだかります。

80年代前半、大手の銀行系クレジットカードはVISAカードグループに住友クレジット(現三井住友カード)、マスターカードグループにユーシーカード、DCカード、ミリオンカード(現UFJニコス)がそれぞれ属しており、国際化を展開していました。JC
Bだけが独白に国際化路線を歩んでいました。当時の信販系クレジットカードは、国内でのカード発行および加盟店獲得を推進している段階だったのです。

85年、日本信販(現UFJニコス)がVISAジャパンへの加盟を認められました。VISAジャパンは、銀行・信金など金融機関系列のクレジットカード会社だけが加盟していたのですが、これで信販クレジットカードの国際化が現実になりました。

しかし、VISAジャパンは日本信販の加盟に当たって、力-ド名を「日本信販・VISAカード」とし、日本信販が発行するクレジョトカードにVISAブランドを付けること認めませんでした。また、「日本信販・VISAカード」に割賦機能を認めず、決済口座は郵便局を除外して民間金融機関に限定させるという数々の制約をつけたのです。また、同社のVISAとしての加盟店開拓も許さなかったのです。

しかし、86年に日本信販はVISAの本部組織であるVISAインターナショナルと交渉し「VISA・郵貯ジョイントカード」の発行を実現させました。日本信販は、こうした一連のカード国際化における経験をいかすために、88年に「国際力-ドビジネス協会」を設立し、業界の国際カード事業に大きく関与しています。

専売特許「個品割賦」は本当に無意味になったのか

01年に割賦販売方式が銀行系クレジットカードにも認められる一方、リボルビング返済が主流になっています。「個品割賦」は存在意義がなくなったのでしょうか。

冷蔵庫や洗濯機といった「白物家電」は、昭和20年代後半から30年にかけて、主婦の家事負担を軽減するという触れ込みで登場しました。しかし、国民所得水準はまだまだ低く、購入するには手が届かない高級品でした。これを可能にしたのが月賦(個品割賦)です。利用者の利便性を高めたばかりでなく、製造する国産メーカーの売り上げにも貢献したので、「個品割賦」は戦後日本の経済成長に大きな役割を果たしてきたと言えます。信販会社も割賦によって大きく成長していきました。

銀行系クレジットカード会社も従来から割賦販売機能の解禁を強く求めてきました。84年の割賦販売法改正では、旧通産省は中小信販の保護名目で、銀行系クレジットカードに対して割賦機能の付与は認めませんでしたが、93年に割賦機能の一つである「リボルビング」を銀行系クレジットカード会社に認め、銀行ATMを信販へ開放させる折衷案を実現させました。そして、01年に「総合割賦」方式(カードを使った分割支払い)が銀行系クレジットカード会社に対して認められることになったのです。

「個品割賦は返済が終了すれば利用者を失うリスクもはらんでいる。経営の安定のためにも、総合カード化を目指していくのが信販の生き残り策としては賢明ではないか」(カード業界関係者)との指摘があります。総合カード化は、小口の売り上げになりますが、利用者との長い付き合いができ、会員拡大が軌道に乗れば規模メリットが享受できます。しかし、クレジットカードは使われなければ何の利益ももたらさず、膨大な会員管理のために却ってシステム構築費用がかさむばかりです。個品割賦は高額商品なだけに、積み上げていけば多額の加盟店手数料と金利収入が入り、利益貢献度は大きいものがあります。

銀行系クレジットカード会社は、割賦の解禁を受けて複数支払い方式を顧客に提供していますが、利用度は低く、それ以前に解禁になったリボルビングも現状では定着しているとはいえません。銀行系クレジットカードの利用者は、翌月1回払いがメインで、信販の顧客層との違いがあるようです。

外国製の高級車は、1%台の長期ローンを組んで販売実績を上げています。背後には、信販の存在があります。これは、利用者が業態ごとのカードを使い分けていることを示しています。個品割賦はまだまだ需要があるのです。信販会社にとっても、個品割賦と総合カード化のどちらに軸足をおくのかが経営戦略の分かれ道ですが、個品割賦の存在感は健在のようです。

量販店との提携力-ド化

信販のクレジットカードは、量販店を中心にした提携力-ドが多いのが特色です。信販は、全国に支店がありますが、売り場を持たないため、消費者が集まる拠点との提携が不可欠です。

毎年新規に発行されるクレジットカードのうち、近年はその多くが提携カードといわれています。それは、提携先企業または団体が、数多くの会員や利用者を抱えているからです。カード提携によって会貝の拡人が期待でき、売上の増加が見込めるのです。

信販の場合、伝統的に提携力-ドが多いのには理由があります。それは、一般消費者と直に接する拠点がないためです。銀行系クレジットカードは、出資先の銀行があり、多くの支店が会員募集を展開しています。流通系クレジットカードはスーパー、百貨店という「売り場」を拠点にしています。消費者金融は無人、有人を問わず店舗を持ち、利用者はそこでキャッシングします。

しかし、信販会社は加盟店と利用者との間に存在する仲介業者であり、エンドユーザーの顔が見えません。このため、顧客獲得はいきおい提携先に頼らざるを得ない事情があるのです。

提携カードは、信販の取り扱い業務のうち「総合あっせん」に該当します。ショッピングとキャッシングの両方が使える点で利便性が高い反面、高額商品をターゲットにしている「個品あっせん」に比べて単価は低くなります。大量の商品をさばく量販店とのカード提携は取引規模のメリットをもたらします。

提携カードの中でも、パソコンや電化製品を扱う家電量販店との提携は、信販会社にとって大きな魅力です。00年に大規模小売店舗立地法が施行されて以降、各都市郊外に続々と家電量販店がオープン、売上局1兆円を超す企業も誕生しています。売り場面積は老舗のデパートをしのぐほどで、破たんした百貨店を丸ごと買い取ったり、日本一の電気街・秋葉原に巨大な売り場を作って地区の集客力を高めたりしている家電量販店が評判になっています。

信販は、家電量販店が登場したころから積極的にカード提携交渉を行い、家電量販店との単独提携に成功しました。関係が深まり、店内にカード申し込みの常設コーナーを与えられている信販もあります。こうした強みの背景には、両社の付き合いの長さもありますが、信販は与信基準を比較的低くして顧客を取り込むよう工夫し、量販店はポイント還元でリピーターを増やすなどの企業努力があるといわれています。また、年会費無料で書面による申し込みも簡略化しているので、商品購入の際にレジ係が加入を進めやすいことも提携カードの増加に一役買っているといえます。ただし、量販店側から恩恵を受けている見返りとして、商品の長期保証など利用者サービスを引き受けるケースもあるようです。

加盟店の管理・維持が重要

クレジットカード化が進む信販業界ですが、高額商品を対象とする個品割賦のウエートは低くありません。加盟店とのパイプが個品割賦の売り上げを左右します。

信販会社の取り扱い業務は、「総合あっせん(割賦)」「個品あっせん」「信用保証」「融資」などに分けられます。総合あっせんはクレジットカードを提示して利用する分割払いで、ショッピングとキャッシングの両方が利用できます。与信総額は100万円以下で、分割払いによる金利収入が見込めますが、小口の取引といえます。これに対して「個品あっせん(割賦)」は、証書貸付方式で手続きは面倒になりますが、自動車や貴金属、住宅リフォーム費用など、高額の分割支払いが可能です。支払い回数が100回以上のものもあり、総合あっせんに比べて格段に金利収入が高く、大きな収益源になっています。

個品割賦は、加盟店との普段からの付き合いが大切だと言われます。クレジットカード会社や信販会社は、加盟店に対して立替払いをします。たとえば、加盟店で顧客が10万円の商品を購入すると、加盟店手数料が5%の場合、手数料を差し引いて9万5000円を5日から10日以内に加盟店に送金する仕組みです。分割払いで発生する金利収入も見込めます。

業界では、旧日本信販が知名度・会員数ともに他社を圧倒していたので、昔は加盟店獲得にも苦労が多かったようです。

ところが、信販の個品割賦の対象は高額商品が多いため、同業他社との競合も激しく、加盟店手数料のダンピングも起こります。

「加盟店の売り上げ状況をチェックしたり、競合他社が入ってきたりして自社の売り上げが減少することがあるので、加盟店契約を結んでそれで終わりというわけにはいかない」(業界関係者)といいます。加盟店は当然ながら、加盟店手数料の低い信販会社を顧客に勧めます。また、加盟店の信用力や業務内容なども日ごろから把握しておかないと、トラブルのもとになります。

高額商品を対象とするがゆえに、個品割賦は信販にとって加盟店手数料、金利収入ともに魅力的な商品です。しかし、利益を優先するあまり、結果的に信用力の低い加盟店と取引し、トラブルも起きました。これまで英会話学校やエステ、貴金属会社などの加盟店と顧客との間で割賦契約を巡って問題が起きました。

最近は訪問販売会社や通信販売会社との加盟店契約が増えています。05年5月に埼玉県で起きた認知症の高齢者に対する悪質な訪問販売住宅リフォーム業者の販売行為が社会問題となりましたが、その中に信販会社が介在しているケースがありました。加盟店に対する管理のいっそうの強化・徹底が求められています。

信販会社の「むかし」と「いま」

戦後から経済成長期にかけて個人消費を手助けしたのが「月賦」とわれる販売方式で、これが信販会社の設立に発展してきました。

戦後間もない時期、国民は等しく貧しい暮らしを余儀なくされてきました。しかし、経済成長期に入って、ミシンや電化製品が登場したころ、これを購入する手段としてメーカーが月賦販売を開始し、丸井などの月賦百貨店とは別に、代金を立て替える専業の月賦(割賦)会社が誕生しました。51年、我が国初の割賦会社である日本信用販売(旧日本信販、現UFJニコス)が設立されます。官公庁や一流企業の職場で、百貨店の顧客向けにクーポンの発行をスタートさせました。

旧日本信販のこうした躍進ぶりに対し、チケット販売を行う地方商店街の専門店会で組織する日専連(日本専門店会連合会)やエヌシー日商連(日本商店連盟)は、旧通産省に信販会社と百貨店に対するクーポン規制を訴えました。これが信販会社の広域営業を規制する「昭和34年通達」(割賦販売の自粛に関する通達=異なる都道府県に所在する百貨店の店舗に共通して利用できるクーポンの発行禁止、一定金額以下での割賦販売の禁止)といわれるものです。専門店会に加盟する中小・小売り業者の保護は達成されましたが、日本信販は営業基盤の縮小・分割を余儀なくされました。

しかし63年、消費者が利用する商店が消費者に月賦販売した債権を同社が買い取り、集金を代行するという仕組み「ショッピングクレジット」を開発しました。全国どこでも自由に分割払いができる画期的な商法で、割賦販売機能を自社で持だない中小の百貨店や専門店、メーカーが同社と次々に業務提携を結び、信販会社発展の大きな原動力となりました。信販業界の歴史は、旧日本信販の歴史といっても過言ではありません。

しかし、68年から日本信販が全国展開したのを機に、大手他社も相次いで追随し、競争が激化していきました。信販会社は、加盟店で利用者が商品を購入した場合、速やかに購入代金を立て替えなければならないので、豊富な資金力が求められます。業容拡大のために都銀や信託、長信銀などの大手金融資本とのパイプを一段と強化し、バブル期には不動産担保金融、住宅ローンなどにも手を広げていきました。大手銀行は、自行では融資審査に通らない顧客を友好先の信販会社に紹介するなど、その絆は深いものがありました。

バブル崩壊後、そうした「負の遺産」は大手信販の経営に重くのしかかり、貸し手としてのメインバンクも連鎖的に不良債権の山を築くことになりました。現在は、メガバンクの再編でアプラスは新生銀行傘下になり、日本信販は05年10月にUFJカードと合併しました。ライフは旧長銀の破たん後、アイフルのグループ企業になるなど、大きな様変わりを見せています。

信販大手ランキング

信販大手6社の04年度の業績は、収益的には1ケタ台の増減にとどまりました。メガバンクグループの再編・統合の影響を受けて、経営環境はますます厳しさを増しています。

信販大手は00年前後から、バブル期に販売した不動産担保融資の不良債権処理に苦しみました。全面支援してきたメインバンクもここ数年は、思い切ったノンバンク戦略に転換し、メガバンクグループは信販会社の統合・再編に乗り出しました。

04年度の各社の業績は、それが数字に表れています。オリエントコーポレーションは05年2月、伊藤忠商事がオリコの約20%の株式を取得して筆頭株主になり、みずばFGとともに資本・業務提携先との「協業」で復活を目指しています。しかし、バブル期の不良債権がまだ残っていることから、貸倒引当金を積み増ししたことで増収減益となりました。みずば銀行の個人ローンの信用保証残高をUCカードから全額(約3000億円)譲り受けたことも今後、収益的に期待できそうです。

05年10月にUFJカードと合併して「UFJニコス」となった旧日本信販は、新会社発足を前にカード会員の拡大を推進するなど、営業基盤の拡大に努めました。旧日本信販はオリコと異なり、信販の専売特許でもあった「個品割賦」から脱皮して総合割賦化(クレジットカードによる割賦)に転換してきました。このため、UFJニコスは自社クレジットカード会員が2000万人と国内最大規模になります。

三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)のジャックスは、04年度が創立50周年にあたっていたため、クレジッ卜事業部門で周年記念のためのキャンペーンを展開するなど、拡大策に取り組みました。しかし、キャッシングなど融資が伸び悩み、営業収益1449億円(前期比O・6%減)、当期純利益78億円(同29・8%増)と減収増益になりました。

04年9月に新生銀行の子会社となったアプラスは、不動産担保融資債権を売却して「負の遺産」を解消した結果、2600億円の大幅赤字を記録しました。

セントラルファイナンスはMUFGの誕生で、グループ内にジャックスと並立する形になりました。04年度は、業界で唯一増収増益となり好調を持続、中京地区を地盤に持つだけに、ジャックスとの統合の可能性は低いと見られます。アイフルの子会社であるライフは増収減益でしたが、アイフルが消費者金融業界で連結業績卜ップの座を維持する原動力になっています。

信販業界は、メインバンクであるメガバンクの再編統合と、不良債権などいわゆる「負の遺産」からの脱却作業が重なって、ここ数年まさに激動の時代を迎えています。今後しばらくは、メガバンクの「ノンバンク戦略」の一翼を担うことになりますが、いずれは自立を求められる時期が到来します。財務体質の強化が最重要課題になるでしょう。

ページ移動